朽形ビブリオテヰカ
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こちらは、創作及び音声を扱っているサイトです。
ご了承の上、お進みいただけますと幸いです。
Introduction
今にも崩れ落ちそうな梁。
抜け落ちそうなささくれ立った床。
月明かりだけが照らす古びた書架。
薄闇の奥から、囁き声だけが聞こえる。
目を塞いだ司書が導く、彼らのお話。
Talk……
その司書は口を開いた。
こんばんは、良い月夜ですね。もしよろしければ、ご案内いたしますよ?
はい、私の目、ですか?
ああ、これは…少し此処の本を、読みすぎまして。失ってしまいました。
ええと…ほら、ここは月明かりしか照明が無いでしょう?
蛍雪の功などとは申しますが、あまり暗い所で熱心に本を読むものではありませんね。
貴方も、あまり此処の本を“読む”ことはなさらない方がよろしいかと。
……それじゃあどうするのかって?
“聞け”ば良いのです。彼らの話を、ただね。
…ああ、どうぞお静かに。彼らの声はとても小さい。
声を立てぬよう、空気を波立てぬよう…どうぞ、耳を傾けてください。